今日、ケモ耳飼います

父さんを見送るべく、玄関に向かうと

「………1人で世話できるか?」


「うん、大丈夫だよ。
店員さんも世話はポイントさえ押さえれば簡単だって言ってたでしょ?」



私の肩を掴み、「だがなぁ……」と言葉を紡ごうとする父さん


「飛行機の時間、いいの?」


シロウので時間食ったでしょ?

と問えば、父さんは時計を見て……




「あ゙っ?!
じゃあ、行ってくるな!」

と車に乗り込んだ。




「行ってらっしゃーい」



小さく手を振り、シロウに向き直る。




「………お腹空いた?」


シロウに問うと、ぴるるっと耳を動かした。






「………ご飯そこにあるよ。」


ウサギ用の餌を入れたエサ入れを指さすとシロウはそちらを見る。







「何か作ろ………」






小さな鍋を手に取り、何作ろうか。と考える。







チラッ……とシロウを見ると何故か凝視されていた。






「シロウのご飯はそこにあるよ。」





シロウの足元にあるエサ入れを指さすと


シロウはそれを蹴り飛ばした。





「ちょっと、なにしてるのシロウ!」






ケージからシロウを出し、エサ入れからこぼれた餌を拾う。






「…………なにか足りないものでもあったのかな?」




シロウをケージに戻すと、何事も無かったかのようにシロウはエサを口に入れ始めた。





「………シロウ見てたら人参食べたくなった。」





冷蔵庫を開け、人参とネギを出す。


今日は、餡掛けうどんだ。



ダンっ!と音を立て、人参を真っ二つにする。






「人参硬いなぁ………」


包丁を通す時、何時もいつか指切らないかな……なんて、ハラハラしている。




頭(葉っぱがついていた方)を小さなビニール袋に入れようとした時




ガリガリガリガリガリガリ…………

とケージをなにかで剃る様な音が聞こえた。






うん?とシロウを見やると、ケージを噛んでいて



「シロウ………」


袋に入れようとした人参を上に持ち上げてみると、ケージ噛むのをやめ、二足立ちする。




「欲しいの?」




人参を持って近付くと、シロウは嬉しそうに跳ねる。





「………よし、今度シロウ用の人参を買おう。」




ケージに洗った人参を入れると、歯を削る用の枝をほっといて、人参にかぶりつく。







「この枝地味に高いのに、勿体ないなぁ……」




私の呟きはシロウに届くわけもなく


空間に溶け込んでいった。