「うふふふふ」


ウサギの入ったケージを抱き、車に乗り込む。




「ゴキゲンだなぁ、そんなに気に入ったか。」

「うん!このふてぶてしい顔がもう可愛くて可愛くて!」



キャー!と1人、頭を横に揺らして悶絶していると

「揺れるな揺れるな、ヘドバンしてるみたいだぞ。」


と制された。




「この子が可愛いのが悪いんだもんっ!」


とウサギのせいにしてみると、ダスンッ!とケージが蹴られる。





「ひぇっ?!」


吃驚してケージを見やれば、ふんっ!と鼻を鳴らすかのようにウサギはそっぽを向いた。





「あぁー、そっぽ向かれちゃったぁー」



うわーん、と泣くふりをしてみると「自業自得だろう。」と父さんは運転席に腰掛け、笑った。





「………えぇー、お前が可愛すぎるのがいけないのに。」




ぷくっ、と膨れながらウサギのケージを眺める。





「早く家に付かないかなぁ………。」




小さく呟くと、ウサギはふこふこと鼻を鳴らす。







「そう言えば、ウサギの名前はどうするんだ?」



父さんに問われ、首をひねる。




「何がいいんだろ。」






うーん、と首を捻りながら、ウサギを眺めていると





「シロウ………」


口から言葉が勝手に零れた。





「あ?シロ?」



白いからか?と父さんは茶化す



「違う!シロウ!」


とケージを揺すらないように気をつけながら怒鳴ると、わぁってるよ。と父さんは笑った。







「シロウ〜、お前の名前はシロウだぞ。」




ケージの隙間から指を入れると、ふんっ!と鼻息をかけられてしまった。





しかし、シロウの顔は満更でも無さそうだった。