『優人〜〜!?本当おっそい!置いてくよ!?』
『悪りぃ悪りぃ、っつーかお前朝からそんなデケェ声出すなよ、うるせぇな!』
『はぁ!?こっちは待ってあげてるのに何その言い方!?』



私、谷村綾はこの春から晴れて高校生になる。

それも、念願だった西岡高校の。一応県内有数の進学校で、校庭にある大きな桜の木がとっても綺麗で、おまけに制服も可愛い。

そして、今日は待ちに待った入学式…
なんだけども。


『またお前と一緒とか、お前の顔見飽きたんだけど?』
『はぁ?それこっちの台詞だし!?こっちは毎朝誰かさんのせいで待たされてるんですけどー!』
『あ〜〜はいはい、ごめんなさい綾ちゃーん』



また朝からこんな調子だ。
斜め向かいに住んでる岸本優人。同い年で、幼稚園、小学校、中学校、そして高校も同じ。
ちなみに言うと産まれた病院も同じ。
いわゆる幼馴染ってやつ。

親同士も仲が良くて小さい頃は良くキャンプやら海やら一緒に行ってた…んだけど。

最近はくだらない言い争いばっかして、ギャーギャー騒いでる。

親友の咲紀曰く、喧嘩しながらも一緒に登校してる辺りただの仲良し幼馴染、らしい。
向かう方向と家を出る時間が同じだから、必然的に…ってだけで、一緒に登校してるって言ったら多少語弊がある気がするんだけど。