帰り道、執事のタナカが運転する車でアルマはぼんやりとこれからどうするか。と考えていた。



“レオ”


学園トップの彼に目をつけられてこの学園で生きていけるだろうか。


アルマは何度目かの大きなため息を吐いた。



「新しい学園は楽しめそうですか？坊ちゃん」



車を運転しているタナカがアルマに声をかけた。




「えっ？あ、うん。楽しめそうだよ！」



急に声を掛けられたことにより、半分ぼんやりしていたアルマは慌てたように返事をする。



言い訳をしているような気分だ。


とアルマは自嘲気味に薄く笑った。




「そう言えば、帰り支度が遅かったみたいだが。

何かあったのか？」




父親のヴァンがアルマに訊ねた。




「えっ？何にもないよ。


ただ、担任がやる気無さそうな人だったなー。」





学園トップのヴァンパイアに絡まれてました。


なんて言える訳もなく、アルマは話をそらした。




「担任が？

ふむ、それは少し困るなぁ。」




ヴァンは顎に手を添えた。



「でも、楽しそうで良かったよ！」





アルマは楽しげに笑うと、タナカは


それはようございました。



と涙ぐみながら、微笑んだ。




「シノにも………、見せてやりたかったよ。」





ヴァンの声はタナカとアルマの声にかき消され、消えた。