離してと言った私の顔を見て、2人は突如泣きそうな顔になる。




「…お、ねーさん…ボクらが怖いの?」

「こわ…………ぇ?」



怖いよ、と言おうとして二人を見ると。


「怖い……の?」


私よりも辛そうな顔をして、目に涙をいっぱいためていた。


「…………………?」


何故この2人が泣きそうな顔をしているのだろう。


怖いのは私で、泣きそうなのは私のはずなのに。



突然の出来事に涙もなにも引っ込み、ただただ慌ててしまった。



「おね、さん、ボクたちが、こわ、の?」

「ボクたち、なにも、しな、よ?」


「あの……ミケくん?…タマくん?」


人外といえども、まだこんなに幼い子達を泣かせてしまってる罪悪感が胸にのしかかる。



「ボクたち、おねさん、が…優しくて」

「仲良く、なりたかっ…ただけ……なの」



徐々に徐々に、2人の目には涙があふれる。



「ごめ、なさっ……ごめん、なさぃ」

「ボクたち、嫌いに、なっちゃ……うぅ」


ふぇぇええええん、と。



ついに泣き出してしまった二人。


その姿には、どこにも怖いなんておもわなくて。


可愛らしい子供にしか見えなくて。


「ごめん、ごめんね。嫌いになってないよ?………ただちょっと、びっくりしちゃっただけなの」




私は二人を抱きしめて、泣き続ける小さな頭を肩に乗せ、よしよしと撫でた。


二人はそんな私の首に腕を絡ませる様に抱きついてきた。




「おね、さん…嫌い、じゃない?」

「ボクたち、嫌われて、ない?」


「うん、うん。嫌いじゃないよ」



よしよしと頭をなでる。



すると、2人は安心したのか、さっきよりも大きな声で泣き始めた。







すると、すぐに。



「なんだ、騒々しいぞ、ミケ、タマ」





2人の泣き声に重なるように、高く通った女の子の声が聞こえた。






私が2人を抱きしめたまま振り返ると、そこには女の子がたっていた。



歳はたぶん、私より少し下、13、4歳。





青く長い髪を背中のあたりでゆるく紐でくくった彼女は。


いわゆる、まろと言われる形に眉毛を整えた、ぱっちりつり目の美少女だった。




「……おや」


そんな彼女は、私を見た途端少しだけ目を見開いて。


「お、お客だー!!!久々の人間だー!!!」


と、元来た道をすごい速さで戻っていった。





「……え?」



なんとなく、普通に帰れない気がしてきた。