「2人とも、お母さんとお父さんは?」

私が聞くと、何故か2人は不思議そうにした。



「おかーさん?」

「おとーさん?」



「え?」



きょとんとする2人。


その反応にこちらもきょとんとしてしまう。



「いない」

「おとさん、おかさん、いない」


「……いない、の?」


その言葉に、聞いてはいけないことを聞いてしまったかと不安になる。


そんな私はお構い無しに、2人はまたキラキラと目を輝かせた。



「うん!ね、おねーさんここいて!」

「おねーさんずっといっしょ!」


「え?」



この子達は何を言っているのか。


なんというか、会話が飛んだ気がする。




「えっと、でも…ごめんね、私帰らなきゃ。…その、また来るから」


そう繕ったのに、2人は不満そうに唇を尖らせた。



「や」

「だめ」



「どうして?」


何故こうも今あったばかりの私に執着するのか。



「おねーさんいいひと」

「ボクたちのこときれーしてくれた」


いいひと?きれいしてくれた?




「…私が綺麗にしたのは狛犬だけど…」


普通に問いかけると、2人は嬉しそうに笑った。


「うん!」

「ボクたち!」


………どうしよう、わからない。




「あの、えっと…つまり、君たちがあの狛犬ってこと……」



あの、と指さそうとした先、狛犬がいた所には。



「え………?」


何も無かった。



狛犬が鎮座していたそこには、狛犬の姿はなく、台座が2つ置かれているだけ。


「……………………え?」


なんというか、言葉にならない。


驚きを隠せずにいると、下から笑い声がした。


「ね?」

「ボクたち」


なら、私は今。




そっと下に目を向ける。


そこには無邪気に笑う小さな生き物達。



私は、今。




人外と会話していたということなのか。




「っ!?」


途端にじわりじわりと怖くなってきて、二人を手から離そうとする。


「?おねーさん?」

「どしたの?」


そんな私の行動が理解できないのか、2人はきょとんと首をかしげている。


「は、なして!」


「えっ」

「え?」