「残念だがな。その2人は俺が共に生み出したものだ。離れる事はできない」
なんだそのわけわかんない設定。
「そうですか…」
「良いですよ。私は後ろを少し離れて歩きましょう」
「ふむ」
うーん。
「…………それ、捕まりません?」
「つかまりそうになったらお前が助けろ」
………雑な。
………まぁいっか。
なんかもう、いろいろ麻痺してるな。
この数時間で私、凄くたくましくなったよ。
「たのもー!!」
「もーー!!」
バン!と扉を開けて入ってきたのはミケくんとタマくん。
驚いて固まるのは私だけで、他の3人は慣れているよう。
「おねーさんー」
「わーい」
そして、部屋に上がってくるなり私に抱きついた狛犬たち。
「ミケくんたち、どうしたの?」
「おふとん」
「じゅんびできた」
………………………ん?
「そっか。じゃあおやすみ?」
「?」
2人が寝るのかなと思ってそう言ったけれど。
何故か不思議そうにされてしまった。
「おねーさんのおふとん」
「だよ?」
「……………え?」
私の?
え、私帰るんだけど………え?
「今日はもう遅い。明日の朝早くに出かけろ」
「え?でも…」
迷惑、じゃないのかな。
「どうせ明日からここに住む」
………そーだった。
私了承してないんだけどなぁ。
「愛由里さん。部屋を用意してますので、今日は休んでください」
「うむ。何かあったら叫べば聞こえるからの」
………何かある前提なの?
さっきのことといい。
ものすごく不安。
「…………………安心しろ」
不安が顔に出ていたのだろうか。
そっと大きな朔夜様の手が頭を撫でてくれるから。
少しだけ落ち着いた。
「……………あの、じゃあ…お言葉に甘えて……」
私がそういうなり。
「!おねーさん」
「こっちー!」
ミケくんたちが私の手を引っ張った。
「うん、わかったから、落ち着いてね」
少し苦笑いしつつも、私は彼らの手に引かれるまま歩き出した。