どくん、と心臓が跳ねた。
「………どうして?」
どうして貴方がそれを知ってるの?
どうしてあったばかりで、それがわかるの?
あからさまに動揺した私を見ると、朔夜様は壁から手を離して、腕を組んだ。
「…俺は神だ。人の健康状態など、手に取るようにわかる」
「…そ、」
そんなの。
そんなの。
「…………生きたいとは思わないか?」
「………」
不意の彼の言葉に顔を上げると。
「俺は人のことはわからん。だが生きたいとは思うものではないのか?」
「………私だって…」
私だって、生きたい。
お母さんと、もっと一緒にいたかった。
私のその表情で理解したのか、朔夜様は。
「…俺が生かしてやろうか」
と、抑揚のない声で言った。
………生かして、って。
「………できるの?そんなことが」
私の言葉に、彼は意味深に微笑んだ。
「俺は神だぞ?」
そう、自信満々に告げながら。
………生きられる?
もしかしたら、私。
まだ、生きられるのかもしれない。
この人のどこまでを信じていいのかわからない。
けれど今は。
そんなかすかな希望にさえ、すがってしまえるのなら。