ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「そういえばハル、大学は?」

まだまだ、ハルについて知らないことが山のようにある。いくら時間があっても、話しは尽きないくらいに。

「僕は、青海大学の教育学部だよ」

「あ、そうか。先生になりたいんだったね」

「うん、そう。うたは?」

傘を少し私の方にずらしながらハルは聞いた。

「私は、桃谷短期大学。日本文学だよ」

「へぇ日本文学、いいね!」

ハルは、時々反応がオーバーだなと思う。

「そう?消去法で選んだだけだよ」

せっかくハルが褒めてくれているのに、それに水を差すような言い方しかできない自分がイヤになる。

「あは、そうか。でもきっと楽しいよ」

そんな私の言葉を、笑って流してくれる。

「うん、そう思ってるよ」

今度は、私が傘を少しハルの方へずらす。

ハルの右肩は雨に濡れてシャツの色が変わっている。私のはほとんど濡れていないのに。

自転車を押していて両手が塞がっているハルのかわりに私は、自分のハンカチを取り出しそっと手を伸ばしハルの濡れている肩を拭いた。

「大丈夫だよ、ありがとう」

2人ともゆっくり歩いていたはずなのに、もう家はすぐそこだった。


もっと、遠かったらいいのに。


「あの角を曲がったとこだよ」


「うん」


ハルの口数が減った。


その表情は寂しげで、どこか遠くを見ているようで。

私の心まで、切なくさせる。