ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

何か話してくれないかな……そう思っていると、夕暮れの町にチャイムの音が鳴り響いた。

普段なら何とも思わないチャイムも、なんだか切なく聞こえる。

「まだ、時間大丈夫?」

右隣から聞こえてくる声。

「え?うん大丈夫」

そう答えた私を、優しい微笑みで包み込んでくれる。


「じゃ、もう少し一緒にいて」


素直なハルの、素直な気持ちなんだろうと思うと嬉しかった。

「うん……」

私も、もっとハルと一緒にいたい。

この時私は胸にあったこの言葉を、言えずに飲み込んでしまった。

ハルは、こんなにまっすぐに気持ちを伝えてくれてきたのに。


「蕾、また少し膨らんだね」

外灯がついて、桜の木がボンヤリと照らされている。

「うん、今年は少し早く咲くだろうって言ってたよ」

今朝テレビで見た話しをした。

「そう!やっぱり日本人は桜だよね」

「あれ?ユキヤナギじゃなくて?」

ハルが、桜よりも強いと言ったユキヤナギはまだたくさんの花をつけている。