少年はそれほど整った顔立ちではないが、透き通るような白い肌や澄んだ黒目がちな瞳が私の目をひいた。

そして、私とおなじく膝を抱えた華奢な印象のその子は、何も言わずにただユキヤナギの白を見つめていた。


どこから来たのだろう?こんな場所に何をしに……?

疑問は山のように頭の中を駆け巡ったけれど。


「……寒く、ないの?」


口を出たのは、そんなどうでもいい質問だった。

というのも3月にしては肌寒いこの日、私は制服の上にマフラーまで巻いている格好なのに、その子はまるで初夏のようにシャツ一枚だったからだ。

「ああ、うん」

そう答え、やっと花から目を離した彼は私を見てフワリと微笑む。

その澄んだ目は、私を安心させる材料としては充分だった。

そんな人を惹きつける雰囲気を、彼は持っていた。


それはまるでユキヤナギの花吹雪に乗ってやってきた、そんな出逢いだった。