ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

ーー 〜♪〜

家を出てから、ちょうど1時間。そろそろ連絡がある頃だと思った。

『さっきはごめんね。今どこ?』

どうやらお母さんの気持ちも落ち着いたようだ。スマホの画面に映る文字には、もうトゲはない。


『私こそごめんなさい。そろそろ帰る』

そう返信して、私はまた冷たい空気を吸い込んだ。

「帰るなら、送って行くよ」

「うん。ありがと。でも大丈夫、1人で帰れる」

今はまだハルの優しさに甘えちゃいけない、そう思った。

「それは、素直な気持ち?」

残念な気持ちと不安な気持ちが入り混じったような表情をするハル。

こういうところは本当に分かりやすい。

「うん。大丈夫」

私が笑顔を見せると安心したようだ。

「そう……じゃ、気をつけてね、また明日!」

そう言って、ハルも笑顔を見せる。

ハルの方こそ、笑顔が似合うと思う。

「うん。ハル……ありがとう」

今、ここに、私の隣にいてくれて。


「うん。僕はいつでもここにいるよ」


ハルが言った意味は、この時の私には分からなかったけど、その言葉に私は安心して両親の待つ家へと帰ることができた。

少しだけ近づいた2人の距離が、私に力をくれる。