ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「……今日、友達と会ってたんだ」

私は静かにゆっくりと、今日あったことを話し始めた。

ハルは時々小さく相づちを打つ程度だったが、まっすぐに私を見つめ聞いてくれていた。

自分に起こったマイナスな出来事を言葉にして発するのは、少しの勇気と少しのエネルギーが必要だった。

それでも私は、話している最中から気持ちがフワリと柔らかくなっていくのを感じていた。

小さい頃から嫌なことは1人で抱え込んでしまいがちな私には、不思議な感覚だった。

「……で、これ以上言い合いしたくなくて飛び出してきちゃった」

私がふぅ、と小さくため息をつくと、ハルはほんのちょっとだけ微笑んだ気がした。

「やっぱり、こんな時にはここに来るんだ」

「ああ、うん」

ちょっとだけ的外れだけどハルらしい言葉に、私はホッとする。

「ここに来たのは、気持ちを落ち着かせるため?お母さんと一緒にいたくなかったから?」

大人なハルだ。パンを食べたいと言ってはしゃいでいた子供みたいなハルとは違う。

「うーん。両方、かな」

ここまで話したんだ、もう素直に答えるしかなかった。