こんな風にここに座っている時の私は、特別何かをしているわけでもなく、何もしていないわけでもない。

時には風に吹かれ好きな人を想い、時には音楽を聴き本を読んだりもする。

今は白い花を見つめながら、もう約束をしないと会えなくなった仲間たちを少し寂しく思い出していた。

時々吹く強い風にスカートがなびくのを気にしながら。

弱小バレー部の仲間たち、体育祭や文化祭を共に経験したクラスの仲間たち。

進む道はバラバラだけれど、いつものカフェで賑やかに打ち上げをしている頃だろうか。

そんなことを想像していると、本当は私だってみんなと一緒に思い出話に盛り上がりたい、と少しだけ後悔したりもする。


でも少し先の未来では、私はみんなの誘いを断わってここに来たことを間違っていなかったと確信している。

もちろん、今の私にはそんなことはまだ分からないけれど。


私はそんな、ちょっと変わってるかもしれないけれど普通の高校生だった。


ーーそう……今日この卒業の日に、君とここで出逢う前までは。