ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

両親のことを気にかけながらも早く帰らなかった自分と、私の気持ちを理解しようとしてくれない母親に腹が立つ。


「電話したのよ、なんで出なかったの?」

出なかったんじゃない、気づかなかったんだよ!そう言いたいのに、目と喉の奥がツーンと熱くなり言葉が出ない。

その場にいることが辛くなり、カバンも置いたまま、外へと飛び出した。


暗い夜道を1人、早足で歩いて行く。

こんなことをしたって、何も解決はしない。でもあのまま家にいても、私とお母さんはヒートアップしてしまうだけなのは分かっていた。

「ふぅ……」

まだ冷たい3月の夜風を吸い込んで熱くなった心を冷ます。

行く先は決まっている。

もちろんあの丘だ。

小さな頃からずっと、嫌なことや考えたいことがある時には必ずあの丘に座っていた。

いつでもユキヤナギは私を暖かく受け入れ、癒してくれた。

家からあの公園までは少し距離があるが、手ぶらで来てしまったので自転車にも乗れない。

頭を真っ白にすることを意識しながら、ひたすら歩く。

分かってる。悪いのは私。

あの時、店に入る前に部長が聞いてくれた時断れたはずだった。

断わったって、気まずくなるような仲じゃないことくらい分かっているのに。