ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「ただいまー」

家へ入ると、お父さんはいつものようにリビングのソファーに座りテレビを見ていた。

お母さんはダイニングテーブルでお茶を飲んでいる。

帰って来た私を見るや否や、お母さんは少し険しい表情で「遅かったわね」そう言った。

「あ、うん。ごめん、なんか盛り上がっちゃって。これ、そこのコンビニで……」

「家で食べてねって言ったわよね?」

私の声を遮る、少し大きな声。

「うん、でも……」

「連絡くらいしてくれてもいいのに」

また、少し大きくなるお母さんの声。

そうだ、やっぱり連絡くらいはするべきだった。

でも、毎日一緒にいた友達と約束をしないと会えなくなる。そんな私の寂しさなんて、分かってはもらえないんだろうか。

「なかなか会えなくなるし……今日くらいはいいじゃん!」

つい、私も声に力が入ってしまう。

「お父さんと家でごはんを食べられるのも、次はいつか分からないわよ」

それも、分かっている。でも、私の気持ちも理解してほしい。

「もういいじゃないか、また早く帰れるようにするから」

争いごとの嫌いなお父さんが私たちをなだめるように言ってくれるけど、私とお母さんの耳には届かない。