ここは私の住む南森町と、隣の北森町との境にある公園。

その、名前も知らない公園の中の小高い丘。

私が勝手に『ユキヤナギの丘』と呼んでいるその丘の上で、今私は膝を抱えている。

目の前には、一面の白い世界。

この公園には桜やツツジ、金木犀などたくさんの季節を伝える植物が植えられていて、四季折々の花が楽しめる。

今はまだ、桜には少し早い時期で。

この目の前にある『ユキヤナギ』だけが、満開を迎えていた。

その名前の通り、垂れ下がる細い枝にたくさんの小さな小さな白い花を抱えているこの植物が、私は好きだ。

自分でもどうしてだか分からないけれど、『好き』の一言では足りないくらいこの花には特別な感情を抱いている。

特に満開を迎え重たそうなほど花を咲かせるこの時期は、騒つく胸を抑えられずここにいることが多い。

卒業を迎えた今日も、そうだった。

その理由はもう何度となく考えたし、両親や友達にも相談したりした。そうだ、占いなんかに頼ったこともあった。

それでも理由は分からず、結局私は考えるのをやめた。

だってその方が楽だったから。