ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

私は恥ずかしくなって慌ててティッシュで拭こうとしたが、まだ半分くらい残っているドーナツ。どうせまたきな粉だらけになるのが分かっているのでやめた。

「いいんです!美味しいから」

そう言ってまたドーナツにかじり付く。中のあんこも甘すぎず、ほんと大人の味なんだ。

ドーナツを食べ終わり、ティッシュで口元を拭いて服に落ちたきな粉も払う。

好きな人の前では食べたらいけないパンだな、なんて思いながら。

でも、もうハルの前では食べてしまったのだから、きっとこれからも気にせず食べ続けるだろう。

これからも、一緒にいられるのかな。


「いつ頃まで咲いてるかな」

ユキヤナギが散っても、ハルと会得るのかな。

「大丈夫、桜が散っても咲いてるよ」

ハルは近くにある桜の木を見上げながら答える。

桜の花の蕾は、まだ少し膨らんでいるだけだったが、確実に春が近づいているのを感じられる。

お花見も一緒に来られたらいいな。そう思っているけれど、口にする勇気はない。

「桜が咲いたら、またここでお花見しようよ、うた」

ああほら、まただ。

やっぱり君は、思っていることを素直に口にできる。

私に断られるとか、迷惑なんじゃないか、とか。そんな不安は感じられない。