ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

公園へ戻るとさっきまで一緒に遊んでいた子供たちの姿はなく、静かになっていて寂しく感じた。

人がいなければ広場のベンチでパンを食べたってかまわないのに、2人は迷わず丘への階段を登る。

誰かと一緒にこの丘に来るなんて、初めてだな……そう思いながら上っていたけれど、それは勘違いだとすぐに気づく。


小さい頃、お父さんと何度も一緒に来たっけ。

お父さんはいつも、こんな何もない丘より遊具のある下の公園の方がいいのに、と私に言っていた。

それでも私はこの丘にいたかった。

ここでよく、縄跳びやバドミントンで遊んだ記憶もある。

あの頃のお父さんは楽しそうだった、もちろん、私も。


もう、戻れないのかな。


「うた?どうかした?」

ハルの声にふと顔をあげると、もう目の前には真っ白なユキヤナギの花が広がっていた。

「ううん、なんでも」

すでに芝生に座りパンを広げ始めているハルの横に、私も座る。

「小さな頃、ここによくお父さんと来たんだ」

「そうなんだ、じゃあお父さんとの思い出の場所なんだね」

そう言ったハルは、待ちきれない様子でいただきます!と大きな口を開けてクロワッサンにかぶりついた。

「うん、そうだね」

私もクロワッサンを一口かじる。サクッとした食感と鼻に抜けるバターとメイプルの香りがたまらない。