ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「っくっ、ひっく」

しゃくり上げるたびに、胸がズキンと痛む。

泣くのって、こんなに辛かったっけ……。久しぶりすぎてよく分からない。

「うた〜どうしたの?」

お母さんがそう言いながら私の背中を撫でてくれる。

ああ、そうだ。こんな感じだった。

小さい頃、泣いている私にお母さんはきまってこんな風に背中を撫でてくれた。

幼い頃は何も考えずに、泣けたんだ。

「大丈夫っ。ちょっと顔洗っ、てくる」

心配そうな母親をダイニングに残し、まだ止まってくれない涙に戸惑いながら洗面所へと向かう。

蛇口から流れる水音が、しゃくり上げる声を消してくれる。

そんなことに一瞬安心しただけで、嗚咽が楽になっていくのを感じる。

冷たい水で、顔を何度も洗う。

涙と一緒に、心のくすみも洗い流せればいい。


ハル


ハル


君はもう


ここにはいない