ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

『なぜ、この美瑛に工房を?』

そんなアナウンサーの質問に笑顔を見せ答える女性。

『弟の結婚式で初めてこの地を訪れた時に、ああ、ここだ!そう思ったんです』

笑顔が、ハルに似ている気もする。

『そう、弟さんの結婚式がきっかけなんですね』

『はい……でも弟はその結婚式の翌日、ここ美瑛で事故に遭い亡くなったんです』

『まあ……そうだったんですか』


北海道で結婚式の翌日に事故?お姉さんが陶芸家?

ちょっと待って。

これは偶然……? まさか……。

そうだ。事故に遭ったのはハルじゃなくて春太。お姉さんが陶芸家なのは春太だ。

そしてテレビの画面には美しい美瑛の風景が広がり、そこには新郎新婦の姿が。

もう、私は食事どころじゃなかった。

お母さんが早く食べなさいなんて言っている声も届かない。

心臓が高まる音が頭に響く。

テレビの画面にはその新郎の写真が少しアップされ、その顔の下には『佐竹 春太さん(享年25歳)』のテロップ。


コトリ、と箸の転がる音。


ーーハル……!


ほんの2.3秒、そこに映し出されたのは紛れもなく私の知るハルの姿だった。