ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「うたちゃん、そのお弁当並べたらあがってね」

「あ、はーい」

丁度良い温度でキチンと管理され届けられたお弁当は、手にすると少し冷んやりとする。

慣れた手つきでそれらを棚に並べると、ガランとしていたその冷蔵棚が一気に見栄える。

「さ、おしまい」

もし、ハルが幼くしてその命を落とすことがなければ、私とハルは今も変わらず一緒にいて。

お金のない2人はあの丘で、散りゆくユキヤナギや桜を見ながらコンビニ弁当を一緒に食べたりしていたのだろう。

大学に入学すれば忙しくなりなかなか会えないかもしれないから……なんて言って、毎日ずっと、一緒にいたりしただろう。

本当はそんな未来のない、2人の出会い。

それに意味があったのだろうか?

詩織と春太にとって、私たちの出会いは大きな意味がある。でも、私には?

もちろん、ハルは私にいろんなものをくれた。家族の大切さを教えてくれたのもハルだ。

ハルが私に残してくれたのは、優しい想いと暖かな思い出だけだったのだろうか?

夕暮れの町を、ハルが綺麗な色だと言ってくれた赤い自転車で走る。

桜の花びらは、まだ私には少し眩しくて心に痛い。