ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「みんな、心配してたわよ」

「……すみません」

迷惑かけちゃったな。

「……何かあった?」

店長は、少し笑顔を崩して私のベッドの横にしゃがみこむ。

「え?」

「何もないなら、いいんだけど」

なんで……?

なんで分かったんだろう?

「……」

「話したくなければいいのよ」

「……」

話したくないんじゃない。こんなこと話したって、きっと信じてもらえないだろうし。それに、うまく話す自信もない。

何も言わない私にも、店長は優しく側にいてくれる。

「……ちょっと、信じられないようなことが起こって……それは、とても素敵なことなんだけど、でもすごく悲しくて」

「そう、素敵なことなのね」

「……はい」

そうだ。この数日間に起こった出来事は、素晴らしい奇跡だ。

とても切なく、悲しくて。でも、春太と詩織の切なる願いは形だけだけど叶えられたわけで。

「じゃ、大丈夫よきっと」

「え?」

「素敵なことには、笑顔があるもの」

「笑顔?」

そうだ、夢の中のハルも笑っていた。

ハルは、ずっと。

笑っていた。