ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

「最近、遊びすぎなんじゃないの?ずっと家にいなかったじゃない。そりゃ、体調も崩すわよ」

ああ、いや。遊び回っていたわけじゃないんだけどね。

お母さんは、チクリと言いながらも私の体を起こしてスポーツドリンクを渡してくれる。

こんなの、久しぶりだな。

冷えたドリンクが熱い喉に染み込む。

「そこの薬飲んで寝ときなさい」

「ああ、うん。ありがとう」

そう言ってお母さんは部屋を出ていく。

1人になり、シンとした部屋。

ボーッとした頭で考えるのは、ハルのこと。あの、手紙のこと。

白い天井に見える花びらのような小さなシミ。

もう桜も満開を迎える。

私とハルと、春太と詩織の間に起こった、悲しくも暖かい奇跡。

ハルは本当に私と出会えて幸せだったのだろうか。

あの手紙はカバンに入れたままだ。

私はハルを、忘れなければいけないのだろうか

ーー忘れられるのだろうか。

夢の中のハルが、あまりに自然に笑うから。

私はまた、いつの間にか眠りについていた。