「……うた、うた?」

誰かの声に導かれて私は、重たいまぶたをゆっくりと開ける。

目の前には真っ白なユキヤナギ……じゃない。

私の部屋の天井だった。そしてすぐ横には心配そうなお母さんの顏。

「うた!目覚めた?」

「……お母さん……」

夢の中と同じ、掠れた声しか出なかった。

「具合はどう?昨日の夜、帰って来たとたんに倒れたから、びっくりしたわよ」

「ああ、うん……」

そっか、昨日家に帰ってそのまま……。

「どこか痛いところない?何か食べる?」

そんなに矢継ぎ早に質問されても。こっちは自分のおかれた状況すらまだ把握できていないのに。

「……何か飲みたい」

とにかく、のどが渇いていてヒリヒリと痛む。体を動かそうとしても、鉛のように重たかった。

氷枕をされてるということは、熱があるのだろう。

そりゃ、熱も出るだろうな。

重たい頭で昨夜のことをぼんやりと思い出す。