ユキヤナギの丘で、もう一度君を好きになる

『ハルとして生まれた僕には、もちろん春太としての記憶なんてなかった。うたもそうだろう。

きっと僕らはそんな記憶もないまま、また出会い2人の道を歩んでいくはずだったんだ。でも、それは不運にもできなくなってしまった。

なぜなら、ハルは生まれつきの病気で幼い頃に命を落としてしまったから』

もう、ダメだった。気持ちが追いつかない。

頭がグルグル回り思考が空回りをする。

もちろん私には詩織の記憶なんて一切残っていない。

私と一緒にこの町で生まれ変わったハルは、私と出会う前に幼い頃に病気で亡くなっている。

じゃあ、なぜ私はハルと出会うことができたのだろう。

ハルがここにいたのは、私の隣りで優しく微笑んでいたのは紛れも無い事実で。

今もなお、こんなにも私の心を揺れ動かしている。

目の奥が、焼けるように熱くて痛い。この痛みを逃すように力を抜けば、きっと涙が溢れ出してくるのだろう。それは分かっていた。

それでもやっぱり私は、その力を抜くことはできなかった。