それから私は何日も続けてユキヤナギの丘に通った。しかし、いつ行っても何時間待ってもそこにはハルの姿はなく、面影すら見当たらなかった。

ハルと一緒にいた1週間は、もしかしたら夢だったのではないか。そう思ってしまうほど儚いものになっていた。

それでも、私の右手に付けられたハートのヘアゴムは確かにハルからもらった物であり、そこにしっかりと存在している。

こんなにも諦めきれない自分に嫌気がさしていたが、それでもハルに会いたいと思う気持ちは消えてはくれなかった。


本当は分かっていんだ。

もう、どれだけ待ってもハルには会えないことは。


私はきっと、自分の気持ちに区切りをつけるためにあの丘へ行っているんだ。

そんな別れ方をしたハルに少し腹が立ったりもするけれど、それをぶつける相手さえいないのだ。

気持ちの整理なんて、そう簡単につくはずはなくて。

モヤモヤした気持ちのまま、薄雲の広がる空の下、バイトを終えた私は今日も真っ直ぐにあの丘へと向かう。