ーー……あれ?



ここは、どこだ?

爽やかな風が頬をかすめる。

僕は病院のベッドで寝ていたはずだ。重い心臓病、手術を控えていた。

いや、ちょっと待て……僕は事故に遭ったんじゃ?



ーー詩織?



詩織は?

頭が、痛い。

ボヤけていた視界が次第にクリアになっていく。そして目の前に現れたのは一面の白い世界。


「……ユキヤナギ」


見慣れている花なのに、なぜかとても懐かしく。

そのユキヤナギの前には膝を抱えて座る1人の少女。

彼女は僕に気づいていないようだ。


事故ーー

詩織ーー

ユキヤナギーー

病院ーー


僕は、少しずつ自分の置かれている状況を整理していった。


この少女は?


『ずっと一緒』
『生まれ変わっても……』


懐かしい詩織の声が頭の中に響く。


ああ、そうか


僕はーー


この目の前の少女は、きっと。