「ちょうどええ、あんたに聞きたいことあってん。」


「なんだ?」



「うちの偽物とあやつ、どないなった?聞くの忘れとったんや。」



蜜穿の事件への関与については、荊蜻の不正を明らかにした事と証拠の提示、廓念会との兼ね合いもあり殊犂とのやり取りだけで終わった。



ただ、殊犂が怪我した件について蜜穿への殺人未遂として、栲袴は聴取を受けていた。


不正アクセスの件は、蜜穿が証拠一切を消去済なので未遂にもすらならず全く問題ないのだが、事件後バイト続きになり聞く機会がなかったのでついでだと蜜穿は尋ねる。



「射唐栲袴は素直に自供したし、上の意向で聴取だけだ。もう日常生活に戻っている。……貴様に感謝していた。」



廓念会が絡んでいたとはいえ、罪が無かったことになり今まで通りの生活が出来ることに、栲袴は反省と共にとても感謝した。



「牟齧は、内々に処理された。それにしても貴様、よく証拠をネットに流さなかったな。流れていたら、内部であってもこの程度の騒ぎで済まなかった。」


「別に、ごほごほ……大袈裟にしとうなかったんは、うちやのーて雇い主や。消すより逮捕の方が、手汚さんし正規やし楽やからな。」