「ということは、俺に言ったUSBの効果は嘘ということだな。」


「まあ、そうなるわな。」



理由はフェイク、組織の描いた作戦を成功させる為の大芝居だ。



「不正アクセス禁止法は未遂は対象外や。それに、そもそもの証拠がないさかいに逮捕は出来ん。」



USBを開いたら警察の回線へと自動的に繋がるようにもプログラムされていた。


だからサイバー犯罪対策課が栲袴へ辿り着いた時の履歴も削除され、偽ハニービーが存在したことすら無かったことになる。



「完全犯罪なんて存在せーへんのは計画する人間が完璧やないからや。それでもうちみたいに完全犯罪が成立してしまうんは、それを捜査するあんたら警察官も人間やからや。ゆーなれば、証拠のない不完全犯罪やな。」



偽物対本物、警察官対犯罪者



バトルシークエンスを征したのはどちらも後者の蜜穿。


何故ならば、魚雷のようなウイルスを人知れず水面下へばらまいていたのだから。



「あやつに残愧の念でもあればええんやけど。ないやろな……、あんたと違って。」



溜め息まじり、希望無さげに蜜穿が言った残愧の念とは、反省して心から恥ずかしく思う気持ちのことをいう。