イジワル先生とわたし







それからはもう、地獄の日々だった。


なるちゃんと寄り道することもできず、家でのんびりすることもできず。

放課後といえばとにかく数学の補習。


家に帰っても、復習予習の嵐。


少しでもサボればユキヤせんせーに怒られ、意地悪をされる。



心身ともに疲れきったある日のことだ。





「これにはこの数式を当てはめて、」

「…。」

「夏野。」

「なにせんせー。」




今日も今日とて変わらぬ、補習の時間。

一心不乱に問題を解いていたわたしを、せんせーは少し真剣な声色で呼んだ。


このくらいになると、ほぼ毎日一緒にいるせいか前よりもドキドキすることは減って目を見ても話せるようになってきた。



未だイケメンボイスなのは変わりないけれど。





「ちょっと休むぞ。」

「んー…、でもこれ解いてから。」

「いいから。」




シャーペンをひったくられた。


珍しいこともあるんだなぁ。

いつもは帰宅時間ギリギリまでぶっ通しなのに。





「ん。」





差し出された手を見ると、そこにはいつもせんせーが食べているであろうあめちゃんがあった。

コーラ味。


わたし意外と好きなんだよね、これ。

いつもせんせーこれ食べてるんだぁ、なんて少し好みが被っただけで嬉しい気持ちになる。

自分でも思うけど、単純だ。





「わぁ。ありがとう!」

「ここ最近がんばってやってたからな。ちょっとしたご褒美。」