彼氏と過ごすクリスマス。

初めての夜。

年末、年越し、お正月!

隣を歩いていたはずのなべっちがますます遠い存在になっていく。


(生きた化石からも、卒業したんだろうなぁ…)


ガックリとうなだれて、携帯越しのなべっちの声を聞いていた。


『――で!知枝里の方はどうだったのよ!進展あったの!? 付き合えたの!? もしかしてもうえっ…』

「何にもないよ!!」


なべっちの言葉を遮って、大声で叫んだ。

それだけのことに、頬が熱くなるのを感じた。


「付き合ってもないし、キスとか、エッチとかそういうこともしてないしっ!!」


言っていて、何だか悲しくなってきた。

彼氏いない歴が、17年に更新されたんだった。


『うそー…、泊まったのに何もなし!? ラブホ行って何もなかったの!? そんなことあるの!?』


(ら、ラブホ…っ!!!!)


やっぱり、本当の叫びは声にならなかった。

そうか。そうかそうかそうか。

親友のなべっちはラブホデビューしちゃったのか…。

ますます置いてきぼりを感じて、萎れた花のように首を垂らした。


「あたし、ラブホには行ってないよ…。あたしだけ行ったこともないよ…」

『えっ!!!じゃあ、実家お泊り!?』

「あっ、いや!そうじゃなくて!! ただ、その。そうそう!ファミレスでオールしただけなの!付き合うとかそれより前の次元で話しをしてただけで…っ」

『あ、なるほどね~? で?相手って誰なの?』

「―――――え?」


再び聞かれて、戸惑った。


「それは~その~…」

『……まだ、言えないの?』

「う゛…、ごめ…」

『…いーよ。しゃーない。でも!新学期までには心の準備しててよ!…あ、じゃあお母さんが呼んでるから。知枝里、よいお年を!』

「…よいお年を」


うなだれて、電話を切った。