何だか、変な感じが頭を支配する。


このお寺には現代では考えられない、変な呪いでもあるの?

大好きだったおじいちゃんは……このお寺のせいで、死んじゃったの?


シュンと不透明な残影が、浮かび上がる。

――頭を、横切る何か。知ろうとすればするほど、手が届かないのはなに?


今日の朝、見たあの夢が甦った。小さい頃から、時々見る優しくて残酷な夢。



『奈、都…頼む…』


男の子の声が、何重にも響く――。



「っ…あっ!!」


ぞくりと、背中に悪寒が走る。平衡感覚を失うように、ふらっとめまいがした。



意識が…飛んでしまう――…?

身体が宙に浮いたように軽くなり、ばたばたっと音をたてながら、その場に倒れこむ。



「奈都!?」



お父さん……このお寺は何なの?

あの夢と関係しているの?


薄れゆく意識の中で、そう小さくつぶやいた。