見せた瞬間に"すげ〜じゃん"って、瀬那が嬉しそうに笑ってくれたから
あー、頑張ってよかったなって、思った。
記念に、なんて写真撮ってる瀬那が可愛くて、嬉しくて、幸せで、胸がキュンッてした。
「…あの、どうかな…?」
1口、口へと運んだ瀬那に恐る恐る尋ねる私。
ケーキを見つめたまま、動かなくなってしまった瀬那に一瞬で不安が押し寄せてきた。
ももももも、もしかして
気づかなかっただけで、実は砂糖と塩間違えた?!嘘!私 味覚まで音痴?!(方向音痴でもある)
「ご、ごめんね!やっぱマズかった?毒味もせずに食べさせて…あの、もう食べなくていいよ!無理しないで!」
慌てて瀬那のスプーンを奪おうとした私の手を捕まえた、私より少し大きい手。
その手とは反対の手で、再びケーキをすくうと
「ほら、口開けろ。」
「ちょ、〜っ?!」
そのまま、私の口へと投下した。
「…うまいっしょ。甘さも俺仕様?ちょうどいい。…佑麻が作ったとは思えないくらい上出来すぎてフリーズした。」
なんて言いながら、"どう?"と再び味の感想を求めてくる瀬那。
どうって、言われたって…
もう、無理!!無理すぎる!!
全然 味なんて分かんないよ。
瀬那に食べさせてもらったケーキの味は、胸の高鳴りと、ときめきにもろくも掻き消されて
「〜〜〜/////」
「何あれくらいで真っ赤になってんだよ。」
口角をあげて笑う瀬那に、どんどん堕ちて行く。
あー。
人は、どこまで人を好きになれるのだろう。
私の中の瀬那タンクは、まだまだ溜め込み可能らしい。


