「もうとっくにSHR終わったけど?」
「え!もう!?」
瀬那の声に、周りを見渡せば確かに教室には人がチラホラ。
え、私どんだけ考え事してたの!
今日は瀬那の誕生日だって言うのに、時間を無駄にするなんてバカ!私のバカ!!大馬鹿〜!!
「す、すぐ準備するから!」
「ゆっくりでいい。」
慌ててカバンに道具を詰め込んで、
「あ!」
思い出したことが1つ。
保健室の冷蔵庫を借りてケーキを冷やしてるんだった!取りに行かなくちゃ!!
あーもう、何でぼーっとしてたの?私!!
段取りが悪すぎて瀬那 待たせまくりじゃんか!!
「あ、もー、えっと、瀬那…あの、」
「そんな慌てなくていいから。待ってるから、ちゃんと待ってる。」
「っ、」
あわてんぼうな私を包む、優しい声。
ポンと頭へと乗せられた不器用な、手は温かい。
「ごめ…、ありがとう。瀬那。」
「ん。」
あー、どうして私っていつもこうなんだろう。1人で空回ってばっかりで、瀬那が全部 受け止めてくれる。
段取りも何もかもグダグダだけど、お祝いしたい気持ちは誰よりも強いんだからね!
あー、瀬那を好きになって本当によかった!って、今日は改めて伝えさせてね。
そして、願わくは…瀬那の気持ちも、どうか言葉にして私に下さい。
……なんて、それは欲張りすぎかな?


