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掃除の時間。
同じ掃除場所の嶋中くんにコッソリ近づく私。
「……ね、嶋中くん?」
「森坂どうかした?」
そんな私に優しく聞き返してくれる嶋中くん。
「あの、その〜…男子ってさ?」
「うん?」
「誕生日プレゼントとか…って、何をもらったら嬉しいのかな〜って思って。」
そう、そうなんです!
さっき瀬那の元へとぶっ飛んで向かったばっかりに、嶋中くんにアイディアを貰い損ねちゃって!
瀬那にバレずに嶋中くんにアイディアを貰える時間。それこそまさに!今!この掃除の時間!!
って、ひらめいたわけです。
「誕生日プレゼント…か。南の?」
「え!!…あ、うん。どうしても喜んで欲しくて。それで嶋中くんにアイディア貰えたらな〜って。」
「……森坂も酷だよな、本当。」
「え…?」
「俺だって、好きなのにさ。森坂のこと。」
"そんな俺に、南への誕生日プレゼントのアイディア貰いたいなんて…"と続けた嶋中くんの顔が、少しだけ悲しそうに歪んで
私はなぜか呼吸が苦しくなった。
「あ、の…」
「なんて、ね。冗談!」
「嶋中くん…、あの」
「ケーキとかは?手作りの。俺ならすげぇ嬉しいけど。彼女の手作りケーキなんて特別じゃん。」
私の言葉は半ば無視して、強引に続ける嶋中くんを気にしながらも
「手作りケーキ…!それ、いいかも!」
やっぱり、私の頭の中はすぐに瀬那の誕生日へと切り替わっていた。


