「どの資料取りたいわけ?」
「あ、……いや、」
久しぶりの俺に戸惑っているのか、俺なんかとはもう話したくもないのか。
なぜか目を合わせてもらえず、さ迷う佑麻の視線。
椅子に乗っかる佑麻を見上げる俺と、相変わらず資料の入った本棚へと視線を向けたままの佑麻。
…こっち見ろよ。
「……取ってやるから、言ってみろよ。」
「…いや、その…す、すみれが丘の資料を、」
そう言う佑麻の手を伸ばしていた場所へ視線をやれば、明らかに【す】のゾーンじゃない。
入口すぐにある【あ】のゾーン。
バレバレな嘘付くなよ。
…進路、変えんの?
俺と一緒のとこ行かなくても済むように?
「そこ、【あ】だけど。すみれが丘はあっち。」
「っ、」
俺の言葉にハッとした様子の佑麻は、下唇を噛み締めたまま黙り込んでしまう。
「言えよ。…なに取ろうとしてたわけ。」
なんで、こんなムキになってんだろ。
別に佑麻がどこに進路変えたって、俺がとやかく言う資格ねぇのに。


