Sena side
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「森坂、」
「ん?」
「今日 一緒に帰れる?」
「あ…うん、帰れるよ。」
教室の中で聞こえる2つの声。
もう、俺に向けられた声をどれくらい聞いていないだろう。
幼さを感じるその声で、佑麻が最後に俺の名前を呼んだのは、別れようと言われたあの日が最後か。
「良かった、少し寄り道して帰らない?たこ焼きの美味い店見つけたんだ。たこ焼きは好き?」
イライラする。
どうしようもなく、イライラする。
聞きたくねぇのに聞こえてくる会話。
「うん、好き!」
今までなら、なんの迷いもなく抱き寄せて『俺のだから』って言えたのに。
もう、佑麻は"俺の"じゃない。
佑麻が誰に笑顔を向けたって、誰に何て言葉を伝えたって、俺がそれをあーだこーだ言う資格がない。


