でも……無理。
俺には無理、そんなの恥ずかしすぎ。
ましてや、俺、振られてるし。
「……いい加減にしてよ!ちょっとでも、佑麻ちゃんの彼氏は南くんじゃなきゃ嫌だって思ってた自分がバカみたい!やっぱ、嶋中くんの方が数100倍いいわ!!!ふざけんな!!!」
「っ、」
俺に背を向けて教室へと入っていく片瀬。
なんで俺がそこまで言われなきゃなんねんだよ。
「うちのが悪いな。いい子なんだけど、キレるとキャラが変わるんだよね。」
「悪いと思ってねえだろ。」
「あ、バレた?」
ヘラっと笑った礼央に、深くため息をつく俺。別にいいんだけどさ、ヘタレ丸出しなのも本当だし。
佑麻が思ってるほど、俺なんてカッコイイ生き物じゃねえし。
「お前さ、佑麻ちゃんに別れようって言われて、1回でも引き止めたのかよ。」
「………。」
「いいじゃん。どうせ、振られた時点でもうスーパーかっこ悪いんだし。なりふり構わず離したくないって引き止めれば?」
「……無理。考えただけで、無理。」
確かに、引き止めなかった。
つーか、そんな隙も与えずに家に逃げ込まれた。
ま、そのあと連絡もしてないし、直接話に行ったわけでもない。どのみち俺はヘタレ認定ってわけだ。


