「なら、付き合う?」
別に強制するわけではなく、何か諭すような、優しい、柔らかい声。
「…え…?」
聞き間違い?と、髪を耳にかけてよく聞こえるようにと構えるけれど
「だから、付き合う?俺たち。」
いや、いやいや。
違うじゃん。
今日のこれ、ただのランチって話だったし!告白されるなんて聞いてないよ。【告白タイム】なんてプログラムに載ってなかったよ?(そもそもプログラムなんてない)
それに、どこをどうしたらそんな話になったんだっけ。
「俺が、森坂を好きだから。森坂は、ゆっくり俺のこと見てくれればいいし。絶対 泣かせない。幸せにしてやるから、」
ま、待って待って!!
「…俺にしなよ。」
「っ、」
ズルい。
私の周りはみんなズルばっかりだ。
欲しい時に欲しい言葉をくれないくせに、いつも不意打ちで私のことをドキドキさせてくれた南くんもズルイ人だったけど。
いつだって、真っ直ぐで、弱ってる時は必ずと言っていいほど甘い言葉で誘惑してくる嶋中くんも、本当にズルイ人。
「俺がいるじゃん。南のこと想って泣いてもいいよ。それごと全部、俺 受け止めてやるから。」
幸せになりたい。
愛されたい。
誰かの胸で、思いっきり泣きたい。
「嶋中くん……私、」


