「嫁にもらってやるよ。」


「…あ、うん。……うん?ん???」


「とにかく明日から放課後は勉強だから。」



"分かったな?"と続ける瀬那は、いつも通りの涼しい顔で私を見下ろすけれど



いや、待って。
私 ついに幻聴が聞こえた?

頭おかしくなっちゃった?


瀬那サラッと"嫁にもらってやるよ"って、言わなかった?言ったよね?



「プ、プロポ……」


「もう遅いし、早く家 入れば?」


「ね!!せ、瀬那、今 よよよ嫁にもらってやるって言ったよね?」


「さぁ…?忘れた。」


「ぎゃーーーー!!忘れるの早い!ちょ、思い出して!!ね、言ったよね?言った?もう1回言って!!いや、もう言ってなくてもいい、今から言って!?リピートアフタミー"嫁にもらってやるよ"セイ?」



「うるさい。近所迷惑。…じゃ、俺 帰る。」



「え!ちょっと!瀬那、待ってよ〜!!もう1回言ってよ〜〜!!」



絶対、言ったよね?
あー、もうボイスレコーダー買おうかな。