「この前、参考書を選んでもらった日。まぁ、誰かさんが尾行してたせいで台無しでしたけど…」
「っ、」
「あの日、私 聞いちゃったんです。」
「…何を、聞いたの?」
ニヤっと口角を上げて意地悪く歪む口元を見つめ、何を言われるんだろう…と、胸のあたりがザワザワし始める。
「南先輩、佑麻先輩といると疲れるって…。あ、これは嘘じゃないですよ!」
「嘘だ……!」
「残念ながら、本当です。どうせまだ、"やること"もやってないんでしょ?…純粋ぶっちゃって、そういう女って面倒臭いですよ。」
────────ドクンッ
心臓が嫌な音を立てて、瞬時にフラッシュバックするお泊まりの日。
『……もう、待たない。』
あの時の、瀬那の声をやけに鮮明に思い出して動けなくなる。
素直に、瀬那に愛されてるんだって…瀬那も私と同じくらい私を思ってくれてるのかな…って嬉しかったのに。
それなのに、私…乙葉ちゃんに邪魔されたことに、心底ホッとしてた。もしあの時、乙葉ちゃんが来てなかったら…?
私、きっと恐怖に負けて瀬那を拒絶してたかもしれない。泣いて困らせたかもしれない。瀬那を、傷つけたかもしれない。


