「南先輩と別れてくれますか?」
「………へ?」
頭を鈍器で殴られたような衝撃を私に与えて、それでもなお笑ってる。
弧を描いて笑う口元、大きな目をくりくりさせて私を見つめる彼女はやっぱり、悔しいけど可愛くて。
女の私でもドキッとしてしまうくらいだから、男の人からみたら絶対にドキドキしてしまう生き物だと思うんだ。
「だーかーら、別れて下さい。南先輩と!」
「…絶対に嫌。」
バカな私でも、こんな話だろうと薄々分かってたんだ。わざわざ瀬那が居ない時に私と話したいことなんて、分かりきってるもん。
でも、これだけは簡単には引けない。
相手が誰でも、絶対に譲れない。
やっと手に入れた瀬那の『彼女』って称号。
茉央ちゃんが自分のことみたいに喜んでくれて、黒崎ちゃんが思わず嬉し泣きしてくれちゃうくらい、奇跡に近い、今も夢じゃないかって思ってしまうくらい。
好きで、大好きで仕方ない瀬那の『彼女』を、自分から手放せるわけがない。
「森坂先輩って、…南先輩の迷惑、考えたことありますか?」
「瀬那の迷惑…?」


