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俺の目の前にはいつも通りの風景。


ダイニングテーブルの上には、母さんが作った朝食が並べられていて、隣にはまだ半分寝ぼけてる乙葉、向かいには朝から無駄にキメてる兄貴、その隣にはコーヒー片手に新聞を読む父さん。



キッチンではまだバタバタと全員分の弁当を作っているらしい母さんが『あー!』だの、『おっと…』だの言いながら奮闘している。



これが、俺にとってはもう当たり前になっている。仲が悪いわけではないが、特に会話をするわけでもなく流れる時間。


それがやけに心地いい。
朝は低血圧な俺には、これくらいが丁度いいってことか。



なんて思いながらパンを1口かじった俺に、



「そう言えば、瀬那」


「…ん?」


突然 目の前でパンを頬張っていた兄貴が、何かを思い出したように顔をあげたから


つられて俺も視線だけ兄貴へと向ける。



「瀬那の彼女、俺まだ紹介して貰ってないんだけど!」


「………だから?」


「今日は金曜だし、夜呼んでよ。俺、今日は早く帰れそうだし!」


「はっ……?!いや、」



無理すぎる。
難易度高すぎだろ、殺す気かよ。