南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )




「俺の気持ちは1度も揺らいだことないし、俺の中には佑麻しかいない。…これで佑麻の中にある不安は消えた?」


滅多に聞けない瀬那の言葉。


え、待って待って!!今なんて言った?
今の録音したかった!!まだボイスメッセンジャー起動させてないよ!


今の録り損ねたら、次いつ言ってもらえるか分かったもんじゃないのに。



「も、もう1回…!何、今のいきなりすぎる胸キュン名セリフ…録音し損ねちゃったよ…?」


ガバッと音が出るくらい勢いよく顔をあげた私と、私を見下ろす瀬那の視線が交差して、



「最近ちゃんと伝えてなかったなって、思ったから。……俺も好きだから、ちゃんと佑麻のこと。」



「…な…っ/////」



ズルイ。

瀬那のタイミングはいつだって、ズルイ。
不意打ちすぎる。


私が瀬那に"好き"って伝える数100倍、瀬那が私に言う"好き"は破壊力に満ちている。



「なんか言えよ、こっちまで恥ずかしくなってくんだろ。」


「だって…!瀬那が好きって…!」


「…あー、もう当分言わない。」


「えーー!!!やだ、毎日!1日1回は聞きたい!!」


「毎日 毎日 言えるかよ。……ほら、帰るぞ。」


私を抱きしめていた腕をといて、1人先に歩き始めてしまった瀬那を慌てて追いかける私の体には、まだ瀬那のぬくもりが残っている。