「ま、佑麻のことだから付いてくるだろうとは思ってたけど。」
珍しく本気の落ち込みを見せる私に、軽い溜息をこぼしながら、それだけ呟いて視線を落とした瀬那。
「嘘!…私の行動パターンバレバレ…?」
おかしいな。
一言も尾行します!なんて宣言してないのに…。
瀬那は私の事が何でもお見通しみたいに、伝わって欲しくない事まで見透かされてしまう。
逆に私は瀬那が思ってることも、行動パターンも…何一つ見透かせた試しがないんだけど。
「…ただ、嶋中と一緒だったのは予定外。」
「わっ、?!」
手首をグイッと引かれて、すっぽり瀬那の胸の中。街中の、人通りの多い道。
普段の瀬那からは想像も出来ないこと過ぎて、ただただ、目を見開くしかない。
「俺の尾行とは言え、休日に男と2人…しかも、俺の許可なく会ってるし。挙句、嶋中と帰ろうとするし…何なの、ほんと。」
「な、何なのって…瀬那だって!」
瀬那だって……休日に紗菜ちゃんと2人で会ってたくせに。なんで私ばっかり怒られなくちゃいけないの?
「俺はちゃんと事前に伝えただろ。それに、よりによって嶋中に頼るなよ。」
ギュッと強く、何だか久しぶりに瀬那に包まれて…こんな時なのにドキドキが勝ってしまうんだから、困りものだ。
瀬那の匂いがする。
瀬那のぬくもりが心地いい。


