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と、止まらない。
瀬那の足が…止まらない。
あれから、半ば引きずられるように瀬那に手を引かれて本屋を出た私たち。
もう結構歩いたのに、瀬那は止まる気配ゼロで
「…っ、」
声をかけようにも、最近まともに会話もしてなかったせいでどこか躊躇ってしまう。
「…瀬那、あの!」
休日のお昼すぎ。
街中は、カップルやら子連れの家族で賑わっている。
「なに。」
私の呼びかけに、何だか不機嫌な瀬那の声が返ってきてドキッとする。
や、やっぱり尾行してたこと怒ってる……?!
「あ、れ??…お、怒ってる?!」
へへへ…なんて無理に笑ってみても、当たり前だけど瀬那の表情は和らいでくれない。
それどころか、
「……この、バカ。」
「いだっ……!」
怒りのデコピンまで飛んでくる始末。
「ただ参考書買いに行くだけだって、俺言ったよな?」
「聞いた、けど…。」
「そんなに信用できない?俺のこと。」
眉間にシワを寄せて、不機嫌オーラMAXの瀬那に口ごもる。
別に瀬那を信用してないわけじゃない。
だけど、私の好きの度合いが大きくて、いつ瀬那が他の子にフラッと行っちゃうか分からなくてたまに不安にはなる。
つまりそれって…瀬那のことを完全に信用しきってないから不安になるんだよね。
「……本当に…ごめん、ね。」


