外へ探索に出た海里は町をブラブラとしながら考える。この世界で働くことに関して考える。

元々、海里は現実世界では大企業の娘で生まれた時点で人の上に立つことが約束されていた女である。大企業の娘である為に色んな仕事を見てきて、その仕事がどんだけ辛いことか分かっているつもりだ。

もちろん人には適性というものが有るため一概には言えないが、海里には『人には使われる仕事』が一番苦手なのだろう。人に指示されたり怒られたりすることが大の苦手なのである。それ今まで『人の上に立つ人間』として育てられたからである。

いくら待遇良くても人には使われる工場なんて嫌なのだ。

           
しかし、その時海里の目に高級なお店が入ってきた。

高級な物に弱い海里はそのお店を覗くと、どうやら高級なレストランの様である。

その時、ふと海里は現実世界の事を思い出す。あの豪華で何不自由無く過ごしてきたあの至福の時を・・・。

教育熱心な両親に育てられた為、勉強はみっちりとさせられたが、食事は専属のコックに作ってもらい、好きなとき好きな物を食べることが出来るあの生活・・・今思うと夢の様である。

うるさい親も海里の勉強の才能・・・そして、人の上に立つ物としての圧倒的な才能を見ていつしか海里には何も言えなくなった。親ですら海里の才能を前に何も言えなくなったのだ・・・。

「本当・・・今思えば現実世界は幸せだったわね・・・」

そう呟く海里・・・だが、その時海里に圧倒的発想・・・電流が流れた。

そう・・・自分に人の上に立つ才能があるんなら人の上に立てば良い・・・!今、このヤサマでとりあえず仕事をする・・・!そしてここでお金を貯めて冥王ハーデスを倒す装備を買って・・・そして・・・ゆくゆくは・・・倒すっ・・・!ハーデスをっ・・・!そして・・・ハーデスを倒したら・・・出るっ・・・!賞金がっ・・・!当然出るはず・・・!世界の誰もが迷惑している冥界の王なんだから・・・賞金は当然出るっ・・・!

「私とんでもないことを閃いたわっ・・・!圧倒的僥倖っ・・・!ってやつかしら?」

そう・・・海里の閃き・・・それはハーデスを倒して得る賞金、それを使って商売をすることである。

出来るだろうっ・・・海里ならば・・・。しかしそのためにはハーデスを倒さねばならない・・・!

何かを決心した海里は宿舎に戻っていく。