今夜10時。
少女はいつものように月を見ていた。
あの手紙のことは男には言っていない
言ったら他のところに移されるかもしれないから。
私の最後の望み。
すると窓の月あかりが一瞬暗くなった
その直後。

ガッシャーンという音と共に
窓と窓のあたりの壁が壊れた。
少女は目を疑う。

目の前に監禁した男とは違う男の子が
今から
月明かりに光る金の目。
深夜に溶ける真っ黒な髪。
とても整ってる顔つき。

でも、少女はそんなこと考えてるひまなどない。
いきなりのことで頭が回らない。

な、なになになに!?

男もすごい音で驚いて来た。
目の前には男の子。
この子の私を見る目はとても優しかった。

「もう大丈夫だから。」
そう言って男の子は立ち上がる。