「っ……二度も言わんでいい」

ばつが悪そうな顔をする拓海先輩に、出たよ拓海先輩の病気、コミュ障とまた呆れた。

「……なにが、まずかったんだ」

顎に手を当てて悩んでる拓海先輩にため息が出る。でも、ちょっと困っている顔が可愛いく思えて、真剣に悩んでいる姿がいじらしい。

──え?

そこまで考えて、私ってば何言ってんのと現実に返ってくる。

「とにかく、拓海先輩が前向きになれたみたいで良かったですよ」

立ち上がって、ベンチに座る拓海先輩の前に立つ。

「俺が根暗って言いたいのか」

「出た、すぐ悪い方に捉えるんですから。それ被害妄想って言うんですよ!」

「年下のくせに生意気だ」

ここで年齢のこと出すあたりが、子供っぽい。拓海先輩って、こういう一面もあるんだな。いや、そこら辺の18歳なんてみんなまだ子どもだ。拓海先輩が特別老けているだけで、これが普通なのだ。

「って、そういう話がしたいんじゃなくて!」

「なんだよ」

拓海先輩が怪訝そうに私を見上げる。いつもなら見下ろされるのに、不思議な感覚だった。

「あのですね、拓海先輩の力は、誰かの幸せに繋がってるんです」

「誰かの幸せ……」

拓海先輩は何か、考え込むように静かに瞳を閉じる。しばらくして答えを見つけたのか、もう一度目を開けた。